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三段評価:★★☆
あらすじ:
本能寺の変で討たれた織田信長の後継者を巡って、家臣である柴田勝家、丹羽長秀、羽柴秀吉、池田恒興が清須城に集まって行われた清須会議を題材にした映画。天下統一に向けて戦略的に事をすすめる羽柴秀吉(大泉洋)と徐々に求心力を失っていく柴田勝家(役所広司)を中心に会議の様子が描かれる。
感想:
■ カリスマは、いいヤツだけど、いやなヤツ。
秀吉は天下統一の足がかりとして、自分にとって都合の良い跡取りと、自分自身の地位を確保するため、清須に乗り込み様々なロビー活動を展開します。
その戦略的で少し強引な振る舞いは見ていてい正直気に食わなかったのですが、登場人物として僕自身があの場にいたら、秀吉を好きになっていたんだろうなと思います。
なぜなら彼は交渉相手の欲しいものをきちんと認識し、winwinの関係になれるよう交渉を進めるからです。
自分の損得で動く池田恒與(佐藤浩市)にはストレートに国をあげる約束をするし、家臣には労をねぎらうための宴会を用意し(しかも盛り上げもできるナイス幹事力!)、織田三十郎信包(伊勢谷友介)との交渉では、一度受取を拒まれた京土産の陶器を見事なプレゼンで受け取らせることに成功(=魅力を感じさせることに成功)します。親友である前田利家(浅野忠信)には友情で答えていた場面もありました。
観客として交渉の全体像をみると、目的のためには手段を選ばない感じがして信用に欠けるのですが、実際に秀吉に対面した時、彼がこちらの意図を的確にくんでくれるなら、当然悪い気はしないですよね。そうやって自分の目的に人を巻き込んでいくんだと思います。
■ 交渉は目的達成への気持ちの強さを比べる勝負
一方で、相手の欲しい物を理解し交渉を進めることは、秀吉以外にもできたはずです。むしろ一番欲しい物が明確なのは秀吉な気がするので、それを利用すれば秀吉と相対した登場人物はもっと有利に事を進めることができたはずです。しかし何故か秀吉の思う方向へ進んでしまう。それは何故なのか?
多分、目的のものを欲しいという気持ちを比べた時に、秀吉の欲する気持ちが誰よりも強かったからなのだと思います。交渉って結構面倒くさいと思うのですが、その原動力になる気持ち、つまり目的のものを欲する気持ちがが強ければ強いほど、交渉に対してより多くのアクションを起こすことができ、結果に結びつくのだと思います。
秀吉とは対照的に、会議で"負けた"柴田勝家(役所広司)は結局何がしたいのかイマイチ分かりませんでしたし、気持ちが弱かったようにも思います。あ、でもお市様(鈴木京香)をめぐる争いでは、勝家が勝っているのでそこは勝家の方がお市様のこと好きだったってことか…いやおいち様の復讐心が一番強かっただけか。(秀吉の土産を投げるところで爆笑しました。)
もちろん能力的な差もあるとは思いますが、交渉は目的のものを欲する気持ちが一番強い人が勝つんだなと思いました。
■ まとめ
上映時間が137分と長めですが、最後まで飽きずに楽しめました。三谷幸喜監督作は食わず嫌いしていたのですが、今回の清須会議が面白かったので、これからはチェックしていこうと思います。
原作小説の文庫版。面白いとの評判。
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